労務(勤怠・給与・社会保険)の使い方
日々の打刻と給与明細の確認から、勤怠の承認、給与計算、社会保険の届出、年末調整までの操作手順。全員が使う面と、承認する人・人事だけが使う面の違いも説明します。
労務メニューの構成
仕事スペースの労務は、使う人と業務のサイクル(日次 → 月次 → 年次)で 8 つのメニューに分かれています。
| メニュー | 主に使う人 | タブ |
|---|---|---|
| タイムカード | スペースのメンバー全員 | 打刻 / 勤怠状況 / 申請 |
| 給与明細 | スペースのメンバー全員 | 給与明細 / 賞与明細 / 源泉徴収票 / 振込口座 |
| 勤怠管理 | 総務・上司・人事・管理者 | 勤怠管理 / 承認 / 残業上限 |
| 受付・来訪 | 総務・管理者 | 来訪予約 / キオスク端末 / 受付キー / 打刻 PIN |
| 給与計算 | 人事・管理者 | 給与 / 賞与 / 住民税更新 / 日雇印紙 / 設定 |
| 社会保険 | 人事・管理者 | 標準報酬 / 算定基礎届 / 月変 / 賞与支払届 |
| 年末調整 | 人事・管理者 | 年末調整 / 源泉徴収票 / 給与支払報告書 |
| 行政届出 | 人事・管理者 | 届出情報 / 住民税 / 設定 |
各メニューには「ガイド」タブがあり、タブの右端にある歯車から表示・非表示を切り替えられます。社員台帳と部署はメンバーと招待、経費や仕訳は会計で説明しています。
見える範囲は「勤怠」と「給与額」で分かれています
- 打刻と給与明細は全員が使えます。 どちらも対象は自分の記録だけです
- 勤怠の承認と給与額の閲覧は別の権限です。勤怠を承認できる人(総務・上司)に、給与の金額は開きません
- 給与額・報酬額・源泉徴収票の金額を平文で見られるのは、専用の権限を持つロール(人事・管理者)だけです。それ以外の人には、画面でも API 経由でもマスクされた値しか返りません
- 承認の権限がない人は、他人の打刻・申請・残業実績を指定しても取得できません。本人の記録に限る制限は、画面ではなくサーバー側でかかります
タイムカード
打刻タブ
ボタンは 1 つです。出勤していなければ「出勤する」、勤務中なら「退勤する」に変わります。押した直後に出るトーストの「元に戻す」で、直前の打刻を取り消せます。退勤したとき、勤務時間が休憩の時間帯をまたいでいて、休憩を引いた実働が 6 時間を超える場合は、昼休みが自動で控除されます(控除した時間帯はトーストに出ます)。月締を提出したあと(提出中・承認済み)は、その月の打刻ができなくなります。「修正」を押すと勤怠状況タブへ移動します。
勤怠状況タブ
自分の月のカレンダーです。日をクリックすると、その日の打刻を編集するダイアログが開きます。
- 1 日に複数の勤務(午前・午後など)を並べられます。行ごとに出勤・退勤・メモを入れ、ゴミ箱で行を消します。「オフィス出社」のチェックはその日の全行に適用されます
- 退勤が出勤より前 / 1 回の勤務が 36 時間超 / 時間帯の重複 —— この 3 つは保存できません
- ⋮ メニューの「平日一括登録(8時間)」で、打刻のない平日(土日・祝日・会社休業日を除く)をまとめて埋められます。「CSVエクスポート」でその月の勤怠を出力します
月の勤怠が固まったら「月締処理」で提出します。提出後は打刻を直接編集できず、ボタンは「月締取消」(押すと取り消して編集に戻せます)に変わり、承認されると「承認済み」になって押せなくなります。差し戻されたときは理由つきのバナーがカレンダーの上に出ます。提出中・承認済みの日をクリックすると、直接編集はできず「勤怠修正を申請」から申請に切り替わります。
同じタブに年休残数(年度・付与・使用・残)が出ます。年 5 日の取得義務に届いていないときは警告が出ます。
申請タブ
残業・休暇・勤怠修正・月締の 4 種類が 1 つの一覧に並びます。自分の申請だけが対象です。状態は 下書き(編集・削除できます)→ 申請済(取下げできます)→ 承認済 / 却下 と進み、自分で取り下げたものは 取下げ になります。月締の行だけは扱いが違い、却下は「差し戻し」と表示され、行メニューは「勤怠状況で確認」と「取下げ」(=月締の取消)だけになります。
「申請を作成」を押すと 3 ステップのウィザードが開きます。
- 種類: 残業申請 / 休暇申請 / 勤怠修正 から選びます
- 内容: 残業なら対象日と時間、休暇なら種類(年休・特別休暇・代休など)と期間・日数、勤怠修正なら対象日と修正後の時刻を入れます。理由は任意です
- 確認: 入力を確認します
3 つのステップを完了すると下書きとして保存されます。保存直後のトーストの「提出」、または一覧の行メニューの「提出」で提出します。一覧の一括操作から、まとめて提出・取下げもできます。
給与明細
自分の明細を見るメニューです。給与明細・賞与明細・源泉徴収票の 3 タブは閲覧専用で、行をクリックすると内訳のダイアログが開きます。
- 給与明細: 対象月・支給日・総支給額・控除合計・差引支給額の一覧。ダイアログには勤怠(出勤日数・総労働時間・時間外・深夜労働)、支給の内訳、控除の内訳が並びます
- 賞与明細: 賞与額と標準賞与額、社会保険料と所得税の内訳
- 源泉徴収票: 会社が交付済みにしたものだけが出ます。作成中・発行済みの段階では出ません
振込口座タブだけは自分で編集できます。 銀行名・銀行コード・支店名・支店コード・預金種目・口座番号・口座名義(カナ)を入れて「保存する」を押します。口座を変えると会社の人事に通知が届き、自分の登録メールにも確認メールが届きます(乗っ取り対策)。次回の給与が確定する前に人事の承認が必要で、承認されるまで変更を反映した振込は確定されません。
勤怠管理
勤怠を承認する人(総務・上司・人事・管理者)のメニューです。
勤怠管理タブは、社員を選んで月を表示します。他の人の打刻を追加・修正・削除できます。 操作は本人の勤怠状況タブと同じで、日をクリックしてダイアログで編集します。上部には稼働時間・深夜・出勤日数・出社日数の集計が出ます。
承認タブには、月締・残業・休暇・勤怠修正の申請が 1 つの受信箱に集まります。承認待ちの件数はタブにバッジで出ます。
- 行メニューから「承認」「却下」を実行します。**月締だけは「却下」ではなく「差し戻す」**になり、理由の入力が必須です(他の 3 種類は任意)
- 月締の行では「打刻明細を確認」で、その月の日別の打刻を見てから判断できます
- 承認済みでも差し戻せるのは月締だけです。 差し戻すと対象月は再び編集できるようになり、承認時に自動生成された給与明細(下書き)は削除されます。その月の給与が確定済みの場合は、先に給与のステータスを下書きへ戻します
- 一括操作は「承認」だけです(まとめての却下はありません)
残業上限タブは、36 協定の到達状況を社員一人ひとりで見ます(全社の合算値には法的な意味がないため出しません)。当月残業・年間累積・到達率・45h超の回数・平均(2〜6ヶ月)・状態が社員ごとに並び、上限の 8 割に達すると「注意」、超えると「超過」になります。行の「詳細」で月別の判定と、注意・超過になった理由が出ます。数値は実際の打刻(退勤済みのもの)から都度計算していて、残業時間の定義は給与計算と同じです。
36 協定そのものは一括操作メニューの「36協定を編集」で設定します。協定期間の起算日・月の上限・年の上限、特別条項があれば単月上限・年上限・複数月平均の上限・月上限超の年回数上限を入れます。協定はスペースにつき 1 つで、判定は社員ごとに行われます。
受付・来訪
玄関に置いたタブレット(キオスク端末)で、来訪の受付と出社の打刻をします。
- 来訪予約: 「来訪予約を追加」で来訪者名・会社名・訪問先社員・来訪予定日時・用件を登録します。受付前の予約は行メニューの「チェックイン」で来訪中にできます
- キオスク端末: 「端末を登録」でラベル・設置場所・モード(受付+打刻 / 受付のみ / 打刻のみ)を登録します。端末は専用のキオスクロールでログインし、OS のシングルアプリ固定で常設します。端末は業務データに一切アクセスできません
- 受付キー: 自社サイトのサーバーから来訪予約を受け取るためのキーです。平文が表示されるのは発行したときだけで、期限は必須です。自分の権限を超えるロールのキーは発行できません。キーはサーバー側で保持し、ブラウザには置きません
- 打刻 PIN: 社員ごとの 4〜8 桁の PIN を管理者が設定します。ハッシュで保存されるため再表示はできず、一覧では「設定済」か「未設定」かだけが分かります
給与計算
給与タブ
「給与を作成」から 4 ステップのウィザードで作ります。
- 基本情報: 計算方法(自動計算 / 手動計算)と対象年月を選びます。支払日は給与設定から自動で決まります
- 社員情報: 対象になる在籍社員の一覧を確認します
- 給与データ: 自動計算なら勤怠の入力状況を確認します。手動計算なら社員ごとに実際に支払った金額を入力します
- 確認・作成: 内容を確認して実行します。ボタンは自動計算が「全社員の給与を計算」、手動計算が「下書きとして登録」です
手動計算は、給与エンジンを通さず入力した金額をそのまま保存します。 導入前の実績や手計算の結果を、あとから計算し直して書き換えないための仕組みです。この給与には「金額を再計算」が出ず、代わりに「金額を修正」でウィザードに戻ります。
状態は 下書き → 確定 → 支払済 です。ステータスの表示から前後どちらにも変えられますが、段階を飛ばす変更には警告が出ます。削除と再計算ができるのは下書きだけです。個人明細の行の「明細 PDF」で 1 人ぶんの給与明細 PDF を、「給与振込ファイル」で全銀フォーマットの振込データ(出金口座・振込指定日・委託者コードを指定)を出力できます。
賞与タブ
「賞与を作成」で名称・支給日・期間を登録し、詳細から「社員を追加」で社員ごとの賞与額を登録します。社会保険料と所得税は登録した時点で計算されます。確定 → 支給済みと進め、「賞与振込ファイル」と「賞与支払届CSV」を出力できます。
住民税更新タブ
「住民税を登録」から 3 ステップ(取込方法 → データ入力 → 確認・登録)で年度分をまとめて登録します。取込方法は手入力(社員ごとに 6 月額と 7 月以降の額)・CSV 取込(列の割当を指定)・通知書 OCR(撮影・スキャンした通知書を読み取って社員に割り当て)の 3 つです。登録後は一覧の「月別税額を編集」で 12 ヶ月ぶんを個別に直せます。全件を CSV に出力することもできます。
日雇印紙タブ
雇用保険印紙の受払簿です。登録するのは購入だけで、「購入を記録」から購入日・等級・枚数・購入通帳番号を入れます。貼付枚数は給与から自動で導出されます(日額表丙欄で源泉徴収する社員 × その月の労働日数)。手で入力する欄はありません —— 手入力すると必ず労働日数とずれるためです。
残高は不足していてもそのまま出ます。マイナスになると「貼るべき印紙が足りていません」という警告が出ます(=雇用保険料の未納が見えている状態です)。
設定タブ
給与計算の前提を置く場所です。
| カード | 内容 |
|---|---|
| 基本給 | 全社員一律の月額 |
| 手当マスタ | 手当ごとに、社会保険の報酬に算入するか・課税対象か・割増賃金の基礎に算入するか |
| 役職等級 | 閲覧のみ(部署メニューで管理します) |
| 給与振込 | 締め日・支払月・支払日・1 日の所定労働時間・月平均所定労働時間・自動休憩の時間帯 |
| 社会保険の加入 | 加入健保・協会けんぽの都道府県・雇用保険の業種区分 |
| 保険料率 | 閲覧のみ。公表元のデータから取り込んで一元管理しているため、ここでは編集しません |
| 会社休業日 | 年ごとの休業日 |
就業規則を登録している場合、労働時間・休日・割増の条項は規程の値が使われ、カードの上に適用中の規程が表示されます。文書(就業規則)と計算(給与)が同じ値から動くので、両者がずれません。
社会保険
- 標準報酬: 標準報酬月額の履歴(改定契機・有効期間・健保と厚年の等級)を見る閲覧専用のタブです。履歴は算定基礎届と月変の提出で積み上がるため、ここから直接は登録しません
- 算定基礎届: 「年度を作成」してから「社員を追加」で 4 月・5 月・6 月の支払基礎日数と報酬を入れます。「提出」すると標準報酬月額が 9 月から適用されます。「届書CSV」で届書作成用のデータを出力できます
- 月変(随時改定): 固定的賃金が変わった社員を登録します。起算月・従前の標準報酬と等級・3 ヶ月ぶんの日数と報酬を入れ、提出すると改定月から適用されます。等級差が 2 等級未満の行は提出できません(行メニューがその理由つきで無効になります)
- 賞与支払届: 確定・支払済みの賞与を一覧し、年金事務所への届出の提出状況を記録するタブです。行メニューまたは一括操作の「提出済みにする」で提出日を記録し、「未提出に戻す」で取り消せます(算定基礎届・月額変更届と同じ操作系)。届出用の CSV は給与計算メニューの賞与タブから出力します
年末調整
年末調整タブの流れは次のとおりです。年度の状態は 回収中 → 計算中 → 完了 と進みます。
- 「年度を作成」で対象年度と締切日を登録します
- 「全社員ぶん下書きを一括生成」で社員ごとの行を作ります
- 「年税額を計算」で、その年の給与・賞与の実績から年税額と過不足を計算します
- 行ごとに「承認」し、最後に「完了」で年度を締めます
源泉徴収票タブでは、対象年度を選び「給与から一括生成」でその年の給与から下書きを作ります(すでに発行済み・交付済みの分は上書きされません)。行ごとに「発行済みにする」「交付済みにする」と進め、交付済みにすると本人の給与明細メニューの源泉徴収票タブに出ます。「源泉徴収票PDFを開く」で PDF を表示できます。徴収区分(特別徴収 / 普通徴収)は行ごとに選び、前職分の支払金額・源泉徴収税額や、災害減免法により徴収猶予した税額も入れられます。
給与支払報告書タブで対象年を選ぶと、提出先の市区町村ごとに報告人員・支払金額計・源泉徴収税額計が集計されます。「電子申告データ(CSV)」は eLTAX の統一様式で、この 1 本で市区町村と税務署の両方に提出できます。提出前の検証が自動で走り、不足があると対象の人数と項目が並んで CSV のボタンは押せません。紙で出す場合は、市区町村ごとに「総括表」と「個人別明細書」の PDF を出力します。
行政届出
届出先の台帳に徹するメニューです。届出書類の本文(36 協定・就業規則)は法務のメニューで扱います。
届出情報タブは、事業所 × 制度(労働基準監督署 / ハローワーク / 年金事務所 / 健康保険)のマトリクスです。セルには「設定済み」「一部」「未設定」、本社で一本化している制度は「本社に一括」と出ます。事業所名を押すと詳細が開き、制度ごとのカードで労働保険番号・管轄労基署・雇用保険適用事業所番号・事業所整理記号などを編集できます。
住民税タブが扱うのは、事業所ではなく会社に属する情報です(特別徴収義務者は法人)。
- 市区町村(住民税徴収先): 社員の住所から自動で作られます。ここに指定番号を登録します。CSV でまとめて取り込むこともできます。市区町村コードは名称から自動で解決され、解決できない行があると給与支払報告書の提出データを作れません
- 月次納付一覧: 対象年月を選ぶと、納付期限と市区町村ごとの対象人数・納付額が出ます。閲覧専用で、CSV に出力できます
設定タブでは、届出の適用の単位を切り替えます。労基署・ハローワーク・年金事務所・健保の届出は法律上は事業所ごとが原則で、それぞれ本社で一本化する承認制度があります。承認は制度ごとに独立しているため、3 つを別々に切り替えます(既定はすべて本社一括)。切り替えても両方の値が残るので、戻したときに入力し直す必要はありません。
| 設定 | 制度 |
|---|---|
| 社会保険(年金事務所・健康保険) | 一括適用承認 |
| 労働保険(労働基準監督署) | 継続事業の一括 |
| 雇用保険(ハローワーク) | 事業所非該当承認 |
より高度な運用
労務のメニューは、打刻・給与・社会保険・年末調整という法定の型に絞っています。シフトの自動作成、変形労働時間制の細かい運用、退職金や役員報酬の計算、福利厚生の手当など、会社ごとに大きく変わる仕組みはプラグインで追加します。労務でできることの全体像は機能一覧を参照してください。